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心だより

2020年6月

幸か不幸か・・

2020-06-01
 人それぞれ、人生において忘れられない言葉があると思います。私にとって忘れられない言葉の一つに、「人間万事塞翁が馬」という格言です。これは、中国前漢時代の書物「淮南子(えなんじ)」の人間訓に由来する故事成語です。意味を簡単に言いますと、「どのような出来事も幸か不幸かは一概に言えない」ということでしょうか・・・
 
 この言葉は、意味に対しても様々な感情がわいてくるのですが、学生時代、生活体験発表なるものの代表に選ばれ、先生の添削で「人生万事塞翁が馬」という文言を入れたらどうだろう・・と言われました。けれども、私の感覚では固い印象になってしまうので、正直なことを言うと入れたくないな・・と思ったのですが、まだ、多少うぶなところがあったので、先生に対して失礼だろうな・・と思いそのままその格言を使うことにしました。自分にとってしっくりこない言葉・・というのは不思議で、「何が幸いするか分からない・・」と続く文言がなぜか、「何が災いするか分からない・・」と言い間違え、首を傾げられたことを思い出します。何よりも、本番で間違えないようにと練習したのに、「人間万事塞翁が馬」を「人間万事鳳凰が馬」と言い間違えてしまったことでした。その間違いは、顔から火が出るほど恥ずかしかったという経験と、最後に残った反省は、この故事が舞台に立ったその時まで自分の言葉にならなかった・・というその苦い思いが忘れられない理由です。
 
 この経験からこの格言が私の人生に大きな幸と不幸をもたらせています。それなりの舞台に立ち言葉を間違えた時に痛烈に感じたのは、自分を信じて違和感に正直になろう・・と思いました。自分が伝えたいことは自分の言葉で、それに多少難があったとしても、今の自分に正直に生きる・・。恥ずかしい思いをすることによって、また一歩前進できることを知りました。けれども、時に正直さは人を不快にさせます。どちらを選んでも、幸であり不幸です。残る感情の選択としては、自分がどちらを選ぶのか・・選ぶ言葉や態度に責任を持つことを学んでいます。
 
 どのような時も、幸いと思ったことは後に災いであり、災いと思ったことが後に幸いとなる。結局どちらにしても、「この世の禍福は糾える縄の如し・・」だと言います。ある新聞に「何事も執着をもってことを見てはいけない・・」とありました。このような時だからこそ、私は、自分の気持ちに素直に向き合って、他者にも誠実でありたいと思います。
 
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