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心だより

2020年6月

アーティフィシャルフラワー・・

2020-06-07
 アーティフィシャルフラワーは造花です。花道と造花では全く相反する気がしますが、現代に必要なアイテムではないかと思っています。私自身2年前、幼馴染との出会いがなければアーティフィシャルフラワーに見向きもしなかったかもしれません。
 
 興味を持った理由は大きく2つあります。1つには、数字にすると分かりやすいかもしれませんが、残念ながら数字の把握はできておりません。しかし、様々な植物が日本に輸入されている・・・ということ・・そのことを知ったときとても驚きました。今の時代当たり前かもしれませんが、そこに何とも言えない違和感を感じました。また、日本で生産されていても、外来種の品種改良によって大きさや色、様々な工夫があることも知りましたが、どこか腑に落ちない気持ちが生まれました。
 
 池坊では、草木の出生の美しさを表現することを大切にしています。ですから、例えば1種類で生ける場合の決まりごとがあります。決まりというと堅苦しく聞こえてしまいますが、自然の美しさを保ちながら一層美しく生けることができる法則のようなものがあり、その法則は命が生まれ朽ちていく、けれども、新しい命の芽生えを感じさせるアイテムを生けることで、めぐる命を表現することができます。ところが、外来種や品種改良された切り花など、花と葉が別々に売られている場合も多く、特別興味のない方にすれば、きれいなお花があり心を慰めてくれるのですから・・それはそれで良いのですが・・池坊花道に縁あった方は植物の生育について知る機会があるかもしれませんが、多くの方にとっては、どちらでもいいのではないかしら・・・と思ったり・・大切にしたい気持ちと、それだけでは堅苦しく感じ花道の敷居は高くなり、それではやはり伝承が難しくなってしまいます。そんな揺れる気持ちの中で思うことは、柔軟な思考が必要ではないかと感じるようになりました。
 
 2つ目は、奥様を亡くされたご年配のご主人がアーティフィシャルフラワーのアレンジを見て感動してくださったことです。その日、たまたまレッスンしたお花を玄関に飾って置いてありあした。ご主人は、花に目をとめて、これが欲しいとおっしゃいました。7月のとても暑い日でした。奥様が亡くなられた後、毎日お花をお供えしているそうです。けれども、連日の暑さで、お供えしたお花のお水を朝、昼、晩とかえても一日しかもたない・・とおっしゃいます。時には、お花を買いに行けないこともあるので、譲ってほしい・・と。
 
 そんな言葉をお聞きして、昔から仏様には生花をお供えするものだと言われてきましたが、多様化した社会の中で、喜んでいただける商品をお届けするお手伝いができたら・・とも思いました。生花に勝るものはありませんが、必要に応じて亡き人をしのぶのもありなのかな・・・と。
アーティフィシャルフラワー
と和雑貨 結子
〒401-0511
山梨県南都留郡忍野村忍草37
TEL.0555-84-4107

 
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